スノーモトのフレームはベーシックフレームを始め、エクスペディンションフレームも短く作られています。特にエクスペディションフレームはダウンチューブのリアサイドがカットされており、最初見たときはかなり違和感を感じた人も少なくはなかったでしょう。では、なぜスノーモトはショートフレームになったのか?理由はライディングに全く必要ないパイプを無くすことで少しでも軽くしたいと言う思いと、車体の重心を中心に集める「マスの集中化」というライデイングにおいてとても有利な効果を生み出すことを考えた上での決断でした。
フレームをショート化するメリットは
自動車レースで例えると山道や細い荒れた道を走るWRC(ラリーレース)と、超高速走行でスピードを競うF1レースがありますが、WRCで使用するマシンはショートホイールベース(タイアとタイアの間が短いこと)で作られており、有利なことは山道など道幅が狭くて曲がりくねっているところでの「操作性」に優れています。一方ロングホイールベースは直進安定性には優れる傾向にありますが、小さいターンを繰り返すような動きは不得手となります。そのためF1レースのようにフラットで整備されたハイスピードコースでは、ロングホイールベースの方が絶対有利になってきます。
一方ウインタースポーツギアは斜度のある雪山を駆け降りてくるにもかかわらず、車と違いブレーキと言う機能が無いため、曲がりながら減速し坂を降りてきます。その上ゲレンデではスキーヤーやボーダーとの接触や衝突を避けることも絶対条件になってくるので、”より曲がりやすいフレーム”が必要になってきます。ゲレンデが真っ平らであればロングホイールベースのフレームの方が安定したライディングでかっ飛ばせますが、何分にも傾斜をどれだけうまく滑ってこれるかを楽しむのがウインタースポーツの醍醐味ですからねえ!
狭い取付け位置と高くて幅の広いデッキ
以前のエントリーでも言及したように、フレームジオメトリーでとても重要なことはフレームの長短以上にボードの取付け位置(ショートホイールベースでボードの撓りを増やす)と、フレーム幅(高い位置からボードに強いプレッシャーを与えることが可能)にあり、如何にボードのポテンシャルを最大限に引き出すことができるが大きなポイントになってきます。
さらに付け加えておくとフレーム製造の最終工程において、アルミパイプの強度を増すために熱処理加工(焼き入れ)を施しますが、フレームに使用するパイプ(特にダウンチューブ)が長くなればなるほど熱処理後のパイプのひずみが大きくなり精度に問題が生じてきます。
スノーモトはあらゆる角度から合理的にジオメトリーを考え、ハイパフォーマンスなライディングとフレーム精度の向上を目指し日々研究していきます。